ことりログ

日々のつぶやきをつらつらと

In one of the stars I shall be living. In one of them I shall be laughing. And so it will be as if all the stars will be laughing when you look at the sky at night.

それぞれが納得する着地点が必ずある

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「バイオリンをやめる」
とアニーが言ったのは、2012年12月。


何があってもバイオリンをやめるという選択肢だけはなかったアニーですが、
発表会での大失敗で、すっかり心が折れたらしい。


でも、その件に関して私から言わせてもらえば、
大曲ゆえに夏から準備を始めていたのにも関わらず、
「ボクは本番に強いからなんとかなる」
という、信じられない理由で舞台に立ったのだから、失敗はもう当然のこと。



本番に強いって・・・


練習もしてないのに、本番で弾けるはずがないっていうことを、
彼はバイオリンを習い続けた10年で気づかなかったのだろうか・・・?



オリンピックを見ていたって、そのことはよくわかります。

4年間、そのためだけに、「血のにじむような努力」なんて使い古された言葉じゃ追いつかないほど、
努力して努力して努力して、
生活の全てをその一瞬のためにぶつけてきた、精神力の強い選手でさえ、
オリンピックという特殊は雰囲気にのまれ、あっけなくその一瞬を逃し、
呆然と立ち尽くしている選手がたくさんいたっていうのに。


アニーのそれと、オリンピックの選手を比べたら本当に申し訳ないですが。



大曲をコツコツ積み上げていくことからの逃げ、
自分の運だけに賭けた大勝負でしたが、
結果はアニーの玉砕。
当然ですが。



小さいころから続けてきたバイオリンですが、
いつまで続けるのか、というのは私の中でもなかなか結論が出ないところでした。


私としては、バイオリンのレッスンは決して勉強の邪魔になるものではないし、
むしろ、勉強の息抜きにバイオリンを弾く、という選択もあるのでは、と思っていました。


だから、レッスンは大学受験の直前まで続けてもいいかなぁと。
そのあたりはおいおい、様子を見て先生と相談しながらでもいいかな。


となるとアニーはあと一年ちょっと。
あと最低一年通えば、私としても長年のお稽古事への区切りがつけられる、
そう思っていた矢先の、アニーの 「辞める宣言」。


これにはかなりこたえました。
アニーがバイオリンをやめる、しかも、こんなに唐突に。


アニーがバイオリンを弾くことはもう日常になっていたので、
それをこんなに急に断ち切られても、こちらの気持ちの整理がつきません。


でもアニーの決心は強く、気持ちがぽっきりと折れてしまっているのはよくわかりました。



それまでは とりあえずほぼ毎日家で練習をしていましたが、
発表会後、家で練習することはなくなりました。


一週間に一度のレッスンに通うだけ。


先生ともこっそり相談をし、今後どうしたらいいのかも話し合いました。
ここで終るのもなんなので、
発表会で失敗した曲の精度をもう少しあげてから、それからやめることを考えよう、ということに。



昨年末の発表会も、アニーは出る気がなかったのですが、
先生がデュエットをしてくれたので渋々ですが出てくれました。


これには、バイオリンを辞める理由の一つには、
「もう舞台に立つのが怖い」
というのもあるのだろうなぁと感じました。




あれから一年、
私の中でもアニーがバイオリンを辞めるということをやっと受け入れることができたし、
なんだかんだ言って高校三年生になるし、
いい時期までこれたかな、と思いました。



そんなある日。


土曜日、子供たちは学校が休みの日で、
その日はアニーは留守番、トートを連れて買い物に出かけていました。


買い物を終え帰宅し、車から降りて玄関を開けようとすると・・・


家の中から聞こえてきた、久しぶりのアニーのバイオリン。
何を思ったか、珍しく家でバイオリンの練習をしていたのです。
その音を聞いて・・・



不覚にも泣きそうになりました。




長い間ずっと、アニーはなんでこんなにバイオリンが下手なんだろうと思っていました。
早くから始めたのに、あとから始めたトートの方は、あっという間に教本が進んだし、
難しい指使いも簡単にこなしてしまいます。


へなちょこな音を出すアニーに対し、
音程の狂いが全くないトートの音。


何年お稽古を続けても全く変わらないアニーのバイオリンの音に、
半ば呆れ、そして諦め、時に苦笑し。


本人がバイオリンを辞めたくないというから、ここまで続けてきただけのこと。
もしアニーがもっと前に
「バイオリンを辞めたい」
と言ったなら私はきっと、
「どーぞどーぞ(どうせ才能ないしね)」
と言ったでしょう。



そんな辛辣な母の、硬い心をもこじ開ける、アニーのバイオリンの音色。
もうすぐ終焉が見えているから?

いえ、違います。
純粋に、アニーのバイオリンの音には、ある人の心を動かすものがあるのだ、と確信しました。


その「ある人」というのはかなり限られた人だろうし、
先日の発表会では知らない男性がアニーの演奏を褒めてくれたという奇跡もありましたが、
もしかしたら、アニーの音に心が震えるのは私とその人だけなのかもしれないけれど、
それでも、心の深い深いところに届く音を奏でているのです。



玄関を開けたらきっと、アニーは練習を辞めるでしょう。
私が見ていないところで勉強する、私がいないところで練習する。

人前でやるのは、その時だけって感じがして嫌だから、
ボクはあえて、人が見ていない時にやる、というのがアニーの持論。
アニーって、あまのじゃくですから(笑)



だから玄関が開けられず、自分の家なのに、中に入らずにずっと聞いていました。
トートが、
「どうして中に入らないの?」
と聞いてきたので、
「アニー・・・ バイオリン上手だねぇ・・・」
とだけ言って、しばらくアニーの世界に浸らせてもらいました。



これまでずっと、アニーのバイオリンの音が外に漏れるのが恥ずかしかった。
こんな下手くそな演奏を、聞かれたくなかった。


でも、今は家の窓を全開にして聞いてもらいたい、
これが10年間コツコツ続けてきた亀さんの演奏だよ、と。


亀だけど、人より数倍上達も遅くて 親でさえも呆れていたけれど、
でもある時から 習得の曲線は急激に右肩上がりになりました。
ある時というか、ついこの間、です。


ずっとずっと、長い間、分不相応な高い月謝を払い続け、
「なんのために私は、子供たちにバイオリンを習わせているんだろう」
と考え続けてきました。



答えは出ました。
この一瞬のためだけに、です。


こんなに心が震える演奏を聞かせてもらった、
ただこの一瞬のためだけに習わせてきたのだと。



親として、こんなに嬉しい出費はないかも(笑)
私の中で、完璧なフィナーレでした。
そしてきっと、アニーにとってもこれからの人生で、大事な習得ができたと思っています。



これまでもよく、バイオリンを習わせているお母さん方からのコメントをいただきましたが、
みなさん、私と同じように悩んでらっしゃいました。
すごくよくわかります。

だから、その方たちより少し先に歩いていた私が、
こんな経験をしたよ、ということを伝えたいです。


無駄なことなんて、何一つありません。
納得のいく、それぞれの着地点は必ずあります。
大丈夫!



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8 Comments

says..."承認待ちコメント"
このコメントは管理者の承認待ちです
2014.02.28 11:50 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.02.28 12:05 | | # [edit]
鍵コメ様 says...""
忙しくはないのだけどね、
ほら、アニーの演奏が響くのは、
私の心と、発表会にいたおっちゃんだけだから(笑)


アニーのあまのじゃく、鍵コメさんもですかw
というか、実はこれ、私からの遺伝なんですけどね^^;

私も昔から、
それまでサボっていたのに、先生が回ってきた途端、掃除を始めるような、
そういう人が嫌で(これは当たり前か^^;)。

アニーじゃないけど、人が見ていないところでせっせと働き、
「神様はきっと見ていてくれている」
と思っていました。
何の信仰もしていませんが。

心はどす黒いですが、
若い頃から徳は積んできているので、来世では解脱できるかも(笑)


旦那さんの言葉、ジーンときました。
ありがとうございます。

アニーからそういう言葉を聞けることはないだろうから、
嬉しいです、アニーがきっと思うであろうことを言ってもらえて。

よかったです、バイオリンを続けてきて^^
2014.02.28 14:35 | URL | #- [edit]
浜島さゆり様 says...""
浜島さん、コメントをありがとうございます。
そしていつも読んでくださり、ありがとうございます^^

右京君、トートと同い年ですね^^
そしてトートもAB型♪

右脳の話は、以前習っていた先生から聞いていて期待していたのですが、
うちの二人はどうにも理系が弱いようです・・・(その先生のお子さんは医学部へ進学^^;)

ま、それはおいといて・・・


バイオリンというのは、悲しいもので、ダイレクトに値段が音に反映するようですね。
今の教室は、生徒さんがうちとあまり変わらない経済状況のように見えますが、
以前のスズキでは、ハイクラスな方々ばかりで、常に
「うちって、バイオリンをやってていいの??」
と思わざるを得ませんでした。


もちろん、そんなことはバイオリンを習いたいと思うならば全く関係ないわけで、
縁あって今の先生のもとで習い始めてからは、
経済格差(笑)をあまり感じずに済んでいるので心が安定しています(笑)

それにしても、お母さんが楽器を弾けるのはいいですよね。
私はもちろんバイオリンは弾けませんが、ピアノも弾けません。
これがせめてピアノが弾ければ役にたてるのに・・・と思うのですが、
無い物ねだりをしても仕方がないので。

私は自分の耳で勝負☆
それから熱血さ?^^; ←子供たちにはいい迷惑

右京くん、いいバイオリンを手にできて幸せですね。
アニーのように、誰か一人の心でもいいから強く打てるような、
そんな演奏ができるようになることを期待しています♪
2014.02.28 14:45 | URL | #- [edit]
えみる says..."涙腺が…"
いつも楽しく拝見してます。
今回の話し思わず涙が出てしまいそうでした。
いつもそばで見ていた
親にしかわからない…
いや、わかれない沢山の思い出が
溢れ出す感じ!
何度読んでも
ウルッとしてしまいます。

我が家の子供達もいつかは
音楽を辞めると
言い出す日が来るかと思うと…

そう思うだけで
またウルッとしてしまいます。

毎日の練習を
もっとちゃんと聴いていよう
と心に誓いました

2014.03.01 14:29 | URL | #- [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.03.01 19:45 | | # [edit]
えみる様 says...""
えみるさん、ありがとうございます。

いつもそばで聞いてた人にしかわからないことってありますね。
ずいぶん前のことですが、近所の人に
「アニー君、昔に比べたらうまくなったじゃない」
と、上から目線で言われたことがあり、
「アナタはアニーの何を知ってるの?」
と、とても腹立たしかったです。

上達の具合なんて、小さい頃から聞いている人にしかわかりませんよね。
しかもその世界を知っている人でなければ。

私がわかっているのだからいいと思いますが、
やっぱりそういう言われ方は悲しかったです。


アニーとトートがレッスンを辞めた後、趣味として弾き続けるかどうかはわかりませんが、
親の役目として習わせるのは、もうゴールが見えてきています。

腹立たしいですが、
頭にきますが、
厄介なことを始めちゃったと後悔することもありますが^^;

プレゼントは必ずもらえますから!!
それを楽しみにしていてくださいね^^
2014.03.03 11:56 | URL | #- [edit]
鍵コメ様 says...""
鍵コメさん、わかりますよ。
私だって、トートに関しては未だ現役?です(´-ω-`)
こっちにも、「一瞬」が来るのかどうか・・・
全く想像がつきませんが^^;


でもね、アニーも中学生の頃まで本当に下手くそでした。
本当に本当に、悲しいくらい下手。
文字通り、「お金をドブに捨ててるようなもんだ」と思ってましたから。

だけど高校に入って少し経った頃でしょうか、
下手は下手なんだけど、それなりの表現力がついてきたなぁと感じたんです。
あのアニーに(笑)


先生との相性もあっただろうし、年齢的なものもあるでしょうね。
スズキは惨めな思い(笑)をすることが多かったですが、
うちの兄弟はスズキで始めたからこそ、ここまで続いてきたし、
土台のようなものが出来たと思っています。


これからもトートがレッスンを終えるまで、
私は嫌味を言い続けなければならないかと思うと気が重いですが・・・^^;
それでも「一瞬」のために突っ走りますよ~!
2014.03.03 12:05 | URL | #- [edit]

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